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家を売却したら確定申告が必要?確定申告の手続きとポイントを解説

家を売却したら確定申告が必要?確定申告の手続きとポイントを解説

家を売却して利益が出た場合には、必ず確定申告することが必要です。一方、利益が出なかった場合でも、控除や税金の還付を受けるために、確定申告が必要なケースもあります。
そこで今回は、なぜ家を売却したら確定申告しなくてはならないのか、確定申告しないとどうなるのか、などの基礎知識と、確定申告の手順について解説します。

 
*目次*
 

1.家を売却したら、必ず確定申告が必要?


家を売却した場合、必ず確定申告が必要なのでしょうか?答えは、「利益が出た場合には必ず」確定申告が必要となります。家を売却して①利益が出た場合 ②控除を適用した場合 ③損失が出た場合 の3つのパターンについて、下記で述べます。
 
①利益が出た場合
不動産を売却したときの税金を「分離課税」といい、給与などのほかの所得とは別に課税されます。そのため、家や土地を売却して利益を得た場合には、必ず確定申告が必要なのです。
 
②控除を適用した場合
3.家売却の確定申告時に知っておきたいポイント3つで詳しく解説しますが、居住用財産を売却した際に受けられる3,000万円特別控除や、空き家を売却した際に受けられる3,000万円控除など、控除や特例を受ける場合には、確定申告をしないと認められないため、確定申告が必要になります。
 
③損失が出た場合
控除や特例を受けておらず、損失が発生した場合には、確定申告をしなくてもかまいません。ただし、サラリーマンや公務員の方は、確定申告を行うことで源泉徴収で納付した税金の還付を受けることができます。
 

2.確定申告をしていないとどうなる?


家を売却し、利益が出ているにもかかわらず、確定申告を行っていないとどうなるのでしょうか?

①税務署から通知が来る
4月頃に、税務署から確定申告がなされていない旨の通知が来ます。対応せず、そのままにしてしまうと、「無申告加算税」と「延滞税」がかかります。

②無申告加算税が課される
無申告加算税とは、確定申告をしていないことへの罰金です。無申告加算税の税率は、50万円までの部分は15%、50万円以上の部分は20%となっています。

③延滞税が課される
確定申告の期限を超過した場合、超過した日数に対して延滞税が課されます。延滞税の税率は、2ヶ月以内であれば約7%、2ヶ月以降は約14%となっています。

④税務調査が入る
確定申告が必要なことを知っていたにもかかわらず、確定申告をしなかった場合には、悪質なケースとみなされて税務調査が入ります。「所得隠し」と判断されると、重加算税が課されることになります。
その場合の税率は、一律に何%とは決められていません。しかし、普通に申告した場合の35%から40%の非常に重い税負担が課せられます。
 
 

3.家売却の確定申告時に知っておきたいポイント3つ


家を売却し、確定申告する場合に知っておきたいポイントを3点ご紹介します。
 

①税率は、不動産の所有期間によって異なる

売却する不動産の所有期間が長期か短期かによって、税率は下記のような違いがあります。尚、譲渡した所有期間は、売却した年の1月1日が基準となります。

・5年以下:所得税30% / 住民税9%
・5年超 :所得税15% / 住民税5%
 

②売却して利益が出ていなくても、税金が発生する場合がある


家を売却して、利益が出なかった場合、不動産譲渡所得税はかかりません。
ただし、購入額を証明できない場合には注意が必要です。なぜなら、購入額が証明できない場合には、「みなし取得費」として売却価格の5%が取得費だと判断されてしまうからです。

たとえば、3,000万円で住宅を購入し、2,000万円で売却したとします。この場合の購入額が証明できなければ、2,000万円の5%、つまり100万円で購入したとみなされ、1900万円もの利益が出たことになり、課税対象となってしまうのです。

このようなことにならないよう、購入時の金額が証明できる書類があるかどうか、確認しておきましょう。
 

③相続した土地・家は、一定期間内に売却すると特例が受けられる


自分で購入した家でなく、相続した土地や家を売却する場合もあるでしょう。そのような場合、相続して一定期間内に売却すると、下記のような特例が受けられる可能性があります。
 
【取得費加算の特例】

「取得費加算の特例」とは、相続財産を譲渡した場合の取得費に関する特例です。
土地や建物、株式などの財産を第三者に譲渡した場合、その譲渡所得に対して所得税が発生しますが、これは、土地や建物の売却金額から取得や譲渡にかかった費用を差し引いて算出されます。

相続した財産を一定期間以内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を「取得費」に加算することができます。取得費が増えると譲渡所得は下がるため、不動産譲渡にかかる譲渡所得税を節税することができるのです。

ただし、この特例には、以下のような要件があります。
・相続や遺贈により財産を取得した者であること
・その財産を取得した人に相続税が課税されていること
・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

詳細は、国税庁のホームページに記載されています。
 
【空き家の3,000万円特別控除】

居住用財産を相続し、それを売却する場合もあります。そのような場合には、「空き家の3,000万円特別控除」が受けられます。
被相続人が居住していた家や土地を売却する場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できるという特例です。

つまり、不動産の譲渡で利益が出たとしても、そこから3,000万円マイナスとなるため、不動産譲渡にかかる譲渡所得税を節税することができます。

この特例の要件は、以下のとおりです。

・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

また、売却の期間も以下のように定められています。

・平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の売却であること
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

詳細については、国税庁のホームページに記載されています。

 
 

4.確定申告の方法と期限


ここからは、具体的な確定申告の方法についてご説明します。

①確定申告の方法
確定申告の申告方法は、3つあります。

・税務署へ出向く
現在の住所地を管轄する税務署へ出向くというのが一般的な方法ではありますが、会場が非常に混雑しますので、早めに書類を準備して出向くようにしましょう。不明点がある場合、職員に聞きながら必要事項を記入することができます。

・e-Taxを利用する
インターネットでの電子申告・納税システム(e-Tax)を利用する方法です。インターネット環境があれば、どこからでも24時間申告することができます。
ただし、マイナンバーカードやカードリーダーが必要になりますので、事前に申告に必要なものを確認するようにしましょう。

・税理士に依頼する
税理士に依頼する方法もあります。難しい手続きをすべて税理士にお任せできますが、その分、お金がかかります。相続財産がある場合や、時間がない人は税理士に依頼するとよいでしょう。

②申告期限
確定申告の期限は、売却した翌年の2月16日から3月15日までです。
 

5.確定申告に必要な書類


確定申告をする際には、さまざまな書類の準備が必要となります。ここでは、家を売却した場合の確定申告に必要な書類をご紹介します。
 
【税務署で入手できる書類】

①確定申告書(B様式)
個人の事業収支や、不動産を売却した場合に使用する書類です。

②分離課税申告書
不動産の売却にかかる税金など、給与とは別に課税される場合に必要な書類です。

③譲渡所得内訳書
売却不動産の所在地や面積、金額などの情報を記載する書類です。不動産売買契約書や領収書の情報を参照するとよいでしょう。
 
【税務署以外で入手する必要のある書類】

④登記事項証明書
売却した居住用財産についての証明書です。法務局で取得するか、インターネットで取り寄せることもできます。

⑤売買契約書の写し
譲渡した不動産の売買契約書のコピーを用意しましょう。

⑥領収書
売却にかかった費用(仲介手数料、測量費など) の領収書も、コピーしておきましょう。

その他、特例を利用した場合などは、別の資料も必要になります。事前に税務署に確認し、準備しておきましょう。 確定申告の概要については、国税庁のホームページに掲載されていますので、こちらもご参照ください。
 

まとめ


家を売却したら、確定申告が必要であることがわかりました。売却時に利益が出ていないなどの理由で、確定申告しなくてはいいかどうか迷うことがあるかもしれませんが、「みなし取得費」のように書類がないことで課税対象となり得る場合もあります。確定申告が必要かどうかなど、疑問点がある場合には税務署へ確認してみましょう。
また、必要書類は、取り寄せなくてはならないものもあるかもしれません。期限内に申告できるよう、必要書類は余裕をもって事前に準備していきましょう。
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